他の病棟ではできない重要な役割

ターミナルケアとは、完治の見込みがない患者に対して最期まで寄り添う医療のことを言い、看護師は独特のスキルが求められます。
延命治療をやめ、痛みや苦しみなど無く穏やかに死を向かえる患者のための身体的ケアとして、投薬や相談への対応などの業務があります。
並行して、褥瘡を防ぐためのマッサージや体位変更、入浴や排泄など身体を快適且つ清潔に保つことも、ターミナルケアを担当する看護師の重要な仕事です。
また、ターミナルケアを担う看護師には、患者だけではなく家族への精神的ケアが求められます。
患者には死に対する絶望や恐怖があります。
そして家族には、愛する人を失うという現実と戦うことになります。
患者の不安を軽減するケアと同様に、家族が持つ不安や自責感そしてやり場のない憤りを理解し、その上で患者の容態や今後の症状について丁寧に説明することが、看護師の役割となります。

ターミナルケアを担当する看護師は、常に患者の死と向き合うことになります。
患者の死後、家族は様々な思いが溢れ出てきます。
後悔の気持ちから、自分を責める家族もいるでしょうし、ただただ悲しみにくれる人もいます。
家族の悲しみを軽減することはできませんが、家族の後悔の念を少しでも少なくするために、生前の患者に対してできることを家族と一緒に考えたり、話し合うことはできます。
ターミナルケアの仕事は、無力感を感じることも少なくありません。
しかし、人の生き死にに関わることができる貴重な仕事とも言えます。

上手にコミュニケーションを取る方法

看護師はたくさんの患者と接する機会が多いです。
患者とのコミュニケーションを大切にしたいのであれば、いくつかコツがあるので把握しておきましょう。
まずは、患者の話に熱心に耳を傾けることがポイントです。
理由としては、ほとんどの患者は健康に対する悩みや不安を抱えているからです。
自分の不安な気持ちを話すことによって、心の負担が軽くなるケースはよくあります。
また、話を聞いてもらったことで、満足感を得られるというメリットも得られます。
精神的に安心を得られた患者は治療に対して前向きな気持ちになれます。
ただし、病気や怪我などが原因となって、スラスラとは話すことができない患者もいます。
そういったケースの場合は、患者にプレッシャーをかけないように、ゆっくりじっくりと耳を傾けることが大切です。
声での会話が不可能なのであれば、筆談などでコミュニケーションをとることができます。

そして、患者とコミュニケーションを取りたいのであれば、笑顔を心がけることもポイントです。
看護師が笑顔でいることで、患者は安心して話をすることができます。
中には、看護師に遠慮をして話しかけることを控える患者もいるので、そういった場合は看護師の方から笑顔で患者に話しかけてみましょう。
挨拶がきっかけで患者としっかりコミュニケーションをとれるようになるケースは実はとても多いのです。
「おはようございます」
「こんにちは」
など、患者を見かけた時には積極的に笑顔で挨拶をしましょう。

思いやりのあるケアを目指して

看護師は、てきぱきと与えられた業務をこなすだけでなく、患者の気持ちや体調を考慮しながら、常に思いやりのあるケアに取り組むことが大切です。
例えば、障がいや認知症などを抱えている患者に対応するには、高いコミュニケーション能力が求められることがあります。
そのため、患者と少しでも良い関係を構築するには、仕事を通じて患者の悩みを聞いたり、健康面のアドバイスをしたりといったことが重要です。
若い看護師が思いやりを持って患者に対応する技術を身につけるためには、個人差があるものの、医療機関だけでなく福祉施設など様々な現場で看護師として経験を積む必要があるかもしれません。

また、日々のケアを通じて専門性を高めるためにも、就活中に気になる病院や診療所、老人ホームなどの求人をチェックしたり、職場見学の申込をしたりして、将来に繋がる仕事をさせてもらえそうな職場を探すことが重要です。
若手の育成スケジュールが整っている大型の病院や大学病院などは、看護の知識や技術だけでなく、コミュニケーションスキルについても学べるところがたくさんあります。
担当している患者と交流を深めたいという場合は、入院病棟で、かつ配置基準にゆとりのある病院を選ぶと良いでしょう。
配置基準にゆとりがあれば、業務はそこまでハードにはならず、患者一人ひとりとしっかりと向き合えるところである可能性が高いです。
加えて、公式サイトを持っている病院であれば、院長の言葉や理念をチェックしておくこともポイントの1つと言えます。
そういったところで働くことで、自然と患者を思いやる看護師として成長できるかもしれません。